葬儀が終わって初めての法要が初七日ですが、お坊さんを呼ばずにできないかと考える人が増えています。
家族だけでできるなら、お坊さんを呼ばないで簡単な初七日にしたい人も多いでしょう。家族だけで行える基準や、注意点を解説します。
これから初七日を迎え、お坊さんを呼ぶか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
初七日にお坊さんを呼ばないのは非常識?

初七日はお葬式が終わって間もないため、お坊さんを呼ばなくてもよいのではないかと考える人もいます。
しかし、お坊さんを呼ばなくても問題ないのか、非常識なのかが気になるところなので、くわしく見ていきましょう。
初七日を行う意味と目的
初七日は故人が亡くなって7日目に行う法要で、正確な日数は命日を含めるため、亡くなった日から数えて6日目です。
初七日の目的は故人の冥福を祈るためで、亡くなってから初七日までの期間で三途の川へたどり着くといわれています。
三途の川は、流れが穏やかな場所だけではなく、激しく流れる場所もあります。生前の行いによって、三途の川のどこを通るのかが決まるとされていますが、少しでも穏やかな流れの場所を渡れるように、初七日の法要で祈るのです。
宗教的な決まりはない
仏教では初七日には法要を行うのが一般的ですが、宗教的な決まりはありません。
初七日の日数は、宗派による違いもありますが、地域による違いのほうが大きいでしょう。
主に関東と関西で違いが見られ、以下のとおりです。
- 関東:故人が亡くなった日から7日目
- 関西:故人が亡くなった前日から7日目
宗教による違いもあります。キリスト教では、亡くなってから3日目・7日目・30日目にミサを行い、7日目は2回目のミサなので「初七日」ではありません。キリスト教には「法要」という概念がないのです。
神道では亡くなったあとの重要な日を10日の倍数とされていて、仏教の初七日にあたるのは「十日祭」です。
故人や家族の意向を尊重する
故人が初七日にお坊さんを呼ばないでほしいと希望していた場合には、尊重するのが供養になると考えられます。
また、故人が初七日を特に希望していない場合に、家族にお坊さんを呼ばないという意向があれば尊重しましょう。
初七日の法要は大切ですが、それよりも故人や家族の考えが大切です。
特に時間や金銭面で負担に感じるなら、ムリして法要を行うよりも、家族だけで静かに供養するほうが、故人のためになります。
「繰り上げ初七日」で省略するケースが増えている
近年では、初七日の日に法要をするのではなく、「繰り上げ初七日」として葬儀の日に行うケースが多く見られます。
共働き世帯が増え、夫婦や子どもも忙しく、平日にお坊さんを読んで初七日をするのは難しいでしょう。
繰り上げ初七日では、葬儀のあと火葬場から葬儀会場に戻り、初七日の法要を行います。
葬儀と同じ日なので、家族だけでなく参列者の負担も軽減されるのが大きなメリットです。
初七日にお坊さんを呼ばないときの注意点

初七日は、お坊さんを呼ばずに家族だけでできますが、お坊さんを呼ばない場合には気をつけなければならないポイントがあります。
対応しておかなければ、トラブルに発展することもあるため、注意が必要です。
親族の理解を得る必要がある
親族に理解してもらえなければ、関係が悪くなるなど、トラブルが起こる可能性が高いです。
初七日などの法要は、故人と遺族だけの問題ではなく、親族にも関係があります。
お坊さんに読経してもらわなければならない、と考える人もいるので、お坊さんを呼ばない事情を説明しましょう。
特に故人が配偶者の場合は、誤解が生じないように義理の両親や祖父母、兄弟姉妹には丁寧な説明が必要です。
菩提寺がある場合は事前に相談する
代々お世話になっている菩提寺があれば、家族だけで初七日を行うと決めた際には、早めに相談しましょう。
初七日でお坊さんを呼ばない場合、菩提寺には事前に相談をするのがマナーで、相談なく家族だけで行うと、菩提寺とトラブルになりかねません。
菩提寺と関係が悪くなると今後の法要や、お墓の管理などに影響することも考えられます。
納得してもらえるよう、事情を丁寧に説明して、納得してもらえれば安心です。
戒名や納骨に影響する可能性がある
初七日にお坊さんを呼ばないと、戒名がない、納骨できないといったトラブルに発展する可能性があり、注意が必要です。
戒名がないと成仏できないわけではないので、近年ではこだわらない人が増えてきています。
納骨も、墓じまいの増加によって納骨堂の利用が多くなり、菩提寺にこだわる必要がなくなってきました。
しかし、親族全員が同じ考えであれば問題ありませんが、反対意見の人がいる場合は話し合いが必要です。
初七日にお坊さんを呼ばないメリットは?

初七日はお坊さんに読経をしてもらうのが一般的ですが、実はお坊さんを呼ばずに家族だけで行うのは、意外とメリットが多いです。
かかる費用が減らせる
お坊さんを呼ぶと、お布施などさまざまな費用が必要ですが、家族だけだと費用を削減できます。
初七日にお坊さんを呼ぶ場合、かかる費用の相場は以下のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| お布施 | 3~5万円 |
| お車代 | 5,000~1万円 |
| お膳代 | 5,000~1万円 |
お車代は、お坊さんが自分で来られた場合に渡すもので、送迎を行った際には不要です。
法要が終わった後の食事に、お坊さんが参加しなかった場合、お膳料を渡します。
お膳料の相場は5,000円から1万円程度ですが、食事の場所が高級ホテルや料亭などの場合は、1万円から2万円を渡すケースが多いです。
故人の意向に沿った式にしやすい
音楽や映像など、故人が趣味や仕事として楽しんでいたものを初七日に使用したい場合など、お坊さんを呼ばないほうが故人の意向に沿いやすいです。
お坊さんを呼ぶと、どうしても仏教に沿った初七日になります。仏教とは関係ない演出や装飾など、お坊さんの目が気になりますが、家族だけだと自由にできるのもメリットのひとつです。
遺族だけのプライベートな時間を過ごせる
お坊さんを呼ばなければ、遺族だけで気兼ねなく過ごせます。
葬儀のときには、悲しみと忙しさのため、遺族だけでゆっくりと語り合う時間をつくりにくいです。
葬儀が終わって一段落した初七日には、遺族だけで故人との思い出を話し、心がほっこりとする時間を大切にできます。
遺族だけの時間を大切に過ごせるのも、お坊さんを呼ばない初七日のメリットです。
日程を組みやすい
遺族の都合だけで日程を決められるのも、お坊さんを呼ばないメリットといえるでしょう。
今は学生から高齢の方まで忙しい人が多く、遺族だけでも日程が組みにくいケースがあります。お坊さんを呼ぶとなると、さらに日程を合わせるのが大変です。
初七日を遺族だけで行うのか、お坊さんを呼ぶのか、特にこだわりがない場合は、お坊さんの都合が合わなければ遺族だけで行うのも、ひとつの解決策といえます。
初七日にお坊さんを呼ばないデメリットは?

初七日にお坊さんを呼ばずに、遺族だけで行う場合はデメリットもあります。
メリットだけでなく、デメリットも確認したうえで、お坊さんを呼ぶかどうかを決めましょう。
正しく供養できたかわからない
遺族だけで初七日を行うと、適切に供養できているのかわからないというデメリットがあります。
遺族だけで初七日を行うと、きちんと供養できているのか、本当に故人のためになっているのかを不安に思いがちです。
確かにお坊さんを呼ぶと読経してもらえ、法要がスムーズに進みます。
宗教的な伝統を重んじる人には理解されにくい
初七日にはお坊さんを呼んで法要をするのが一般的なため、周囲の人に理解してもらいにくいかもしれません。
特に親族に高齢の方が多い場合、宗教的な伝統を重要と考えて、反対されるケースが多いです。
また、都市部とくらべて地方のほうが、保守的な考えの方が多い傾向が見られ、反対されやすいようです。理解を得られるよう、丁寧に説明しましょう。
初七日にお坊さんを呼ばない場合の準備や手順

初七日にお坊さんを呼ばず、遺族だけで行うときには、準備や当日の流れが異なります。
準備や手順について、どのようにすればよいのか迷ってしまうので、わかりやすく解説します。
初七日に必要なもの
初七日には、仏具などさまざまなものが必要です。
早めに準備しておくと安心なので、以下のリストを参考に、準備を進めてください。
- 仏壇、または祭壇として使う台
- 故人の写真
- 線香
- ろうそく
- お供えもの
- 花
余裕をもって準備を進めると、花やお供えものなど、故人が好きだったものやステキなものなど、こだわることもできます。
祭壇のつくり方
祭壇は、仏壇の前につくることが多いです。部屋の角も祭壇をつくるのに適した場所なので、狭くて仏壇の前につくれないという場合は、部屋の角につくってみましょう。
祭壇をつくる流れは、以下を参照してください。
- 台に白い布を敷く
- 中央に仏具を置く
- お供えものや花などを配置する
- 中央に故人の写真を置く
供養の流れ
初七日の供養は、葬儀のあと最初に行う法要なので、初めての場合はどうすればよいのかわからず不安に思うかもしれません。
以下のような流れを知っておくと、スムーズに供養ができそうです。
- 参列者やお坊さんを出迎える
- 喪主のあいさつ
- お坊さんの読経
- 参列者の焼香
- お坊さんからの説法
- 喪主のあいさつ
- 会食(精進落とし)
上記の流れはお坊さんを呼んだ場合のものなので、お坊さんを呼ばない場合はお坊さんの読経や説法がなくなります。
初七日によくある質問

初七日について、よく聞かれる質問をご紹介します。初めての初七日は不安も多いはずなので、回答を参考にしてください。
事前に親族に説明し理解を得ましょう
初七日はお坊さんを呼ばなければならないのか、家族だけで行えるのかを解説しました。
今は家族だけで初七日を行うケースや、葬儀と同じ日に行うことが増えています。
周囲からも理解されやすくなってきましたが、それでも「初七日はお坊さんを呼んで行うもの」という強い価値観の人もいます。
初七日にお坊さんを呼ばない場合は、事前に親族に説明し、理解を得ることが大切です。温かい雰囲気のなかで、故人を見送ってあげましょう。
